Sanseido Dictionary
いで
いで (感 )① 誘いかけたり ,促したりする時の呼び掛けの語 。さあ 。「―我 (あ )が駒早く行きこそ 」〈万葉集 3154 〉② 思い切って行動を起こしたり ,決心したりする時に発する語 。どれ 。いざ 。「―,この返事 ,さわがしくとも我せん 」〈源氏物語 行幸 〉③ 詠嘆や感動を表す語 。いやもう 。「―,あはれ 」〈狭衣物語 1 〉④ 問いに対して否定の返事をする時や ,承服しかねる時に発する語 。いや 。さあ 。「―,そこにしもぞめで聞え給はん 」〈源氏物語 行幸 〉「―,さも侍らず 」〈大鏡 序 〉⑤ 話を始める時に言う語 。さて 。そもそも 。「―その頃は元暦元年三月十八日の事なりしに 」〈謡曲 八島 〉
いで
いで (接助 )〔「ずて 」の転 。中世以降の語 〕動詞の未然形に付く 。現代語の 「ないで 」に相当する 。① 上の事柄を打ち消し ,特別の感情をもって中止する 。「衣を帯につかぬるやうに夫にそは ―ぞ 」〈毛詩聴塵 〉② 上の事柄を打ち消し ,下の用言の修飾語となる 。「いとまもこは ―はなんとあらうぞ 」〈史記抄 5 〉〔現代語でも関西方言では用いられる 〕