Sanseido Dictionary
けわい
けわい ―はひ 2 0 〔現代では ,「気配 」の字を当てて 「けはい 」という 〕視覚的な 「けしき 」に対して ,聴覚的 雰囲気的な感じをいう語 。① 音 におい 感触などによって感じられる様子 。「げに雨降る ―しつるぞかし 」〈枕草子 278 〉「―しるく ,さと匂ひたるに 」〈源氏物語 賢木 〉「手さぐりの細く小さき程 ,髪のいと長からざりし ―の ,さま通ひたるも 」〈源氏物語 空蟬 〉② どこということなく漠然と受ける感じ 。雰囲気 。風情 。「秋の ―立つままに 」〈紫式部日記 〉③ 人間の言葉や動作から感じられる品格 。ものごしから受ける感じ 。「大方の気色 ,人の ―も ,けざやかに気高く 」〈源氏物語 帚木 〉④ 実体がなくなったあとに残された影響や面影 。名残 。「過ぎにし親の御 ―とまれる故郷ながら 」〈源氏物語 帚木 〉〔「けわい (けはひ )」の 「け 」は 「け (気 )」か 。「わい (はひ )」は四段動詞 「這 (は )う 」の名詞形で ,一面に広がることの意かという 〕 →けはい (気配 )