Sanseido Dictionary
むず
むず (助動 )活用 ○ ○ むず (んず ) むずる (んずる ) むずれ (んずれ ) ○ 〔推量の助動詞 「む 」に ,格助詞 「と 」とサ変動詞 「す 」の付いた 「むとす 」の熟合したもの 。中古以降の語 。「む 」は ,後世 「ん 」と発音されたために ,「んず 」とも書かれる 〕推量の助動詞 。動詞 助動詞の未然形に付く 。① 目前にないこと ,まだ実現していないことについて予想し推量する意を表す 。…であるだろう 。…だろう 。「今は帰るべきになりにければ ,此月の十五日に ,かのもとの国よりむかへに人々まうでこ むず 」〈竹取物語 〉「三人ながら島の内を出でたりなど聞え候はば ,なかなか悪しう候ひな んず 」〈平家物語 三 流布本 〉② 話し手自身の意志や決意を表す 。…するつもりだ 。…するようにしよう 。「この蛍のともす火にや見ゆらむ ,ともし消ちな むずる 」〈伊勢物語 39 〉「われは ,しかじかのことのありしかば ,そこに建て むずる ぞ 」〈大鏡 藤氏物語 〉③ 「…するのがよい 」「…するのが当然だ 」などの意を表す 。「敵すでに寄せ来るに ,方々 (かたがた )の手分けをこそせられ んずれ 」〈保元物語 中 古活字本 〉④ (連体形を用いて )実現していないことを仮定していうのに用いる 。…であるような 。…といわれる 。「殿上までもやがてきりのぼら んずる 者にてある間 」〈平家物語 1 〉〔(1 )「むず 」は 「む 」とほとんど同じ意味に用いられるが ,やや強めた言い方になる 。(2 )中古では多く会話文に用いられる 。(3 )「むず 」から中世後期以降 「うず 」の形を生ずる 〕 →むとす (連語 ) →うず (助動 )