Sanseido Dictionary
出る
でる 1 【出る 】(動 ダ 下一 )《文 ダ下二 づ 》① 内側から外へ ,または人からよく見える所へ移動する 。 ↔はいる 。 「ベルを鳴らすと奥さんが で てきた 」「宿題を忘れた者は前に で なさい 」② 主要な居所としていたところを離れて別の場所へ行く 。「妻も働きに で ている 」「旅に でる 」③ それまで社会的に所属していたところから去る 。 ↔はいる 。 「学校を で てから一〇年たった 」「婚家を でる 」④ 仕事や学業などの活動をするために行く 。「店に でる 」「会社に でる 」⑤ 多くの人々が見たり聞いたりするものの中に登場する 。「試合に でる (=出場スル )」「芝居に でる (=出演スル )」⑥ (「電話にでる 」の形で )電話をうける 。⑦ 集まりなどに出席 参加する 。「同窓会に でる 」「ゴルフのコンペに でる 」⑧ 新たな社会的な活動に乗り出す 。「彼は今度の選挙に でる (=立候補スル )そうだ 」「社交界へ でる 」⑨ 相手に対してある態度をとる 。「下手 (したて )に でる 」「横柄な態度に でる 」⑩ 物が移動して中から外 ,または人の目に見える所に現れる 。 ↔はいる 。 「煙突から煙が でる 」「蛇口をひねれば水が でる 」⑪ 外の方へ出っぱる 。突き出る 。「釘が で ているから気をつけなさい 」「腹がだいぶ で てきた 」⑫ 人に見える場所に設置 掲示 展示される 。「『本日休業 』の札が で ている 」「展覧会に歌麿の名品が で ている 」⑬ おおわれていたものが露出される 。「雪がとけて山肌が で ている 」「地が でる 」⑭ 広く世の中全体に向かって発表される 。「四月号が でる 」⑮ 乗り物が出発する 。または運行される 。 ↔はいる 。 「まもなくバスが でる 」「この町から大阪行きのバスが で ています 」⑯ 隠れていたり ,どこにいったか分からなくなっていたものが見つかる 。「畑から土器が でる 」「なくした鍵が で てきた 」⑰ 恐ろしいものが人前に現れる 。「追いはぎが で そうなさびしい道 」「幽霊が でる 」⑱ 飲食物や金品が供される 。与えられる 。「昼食にはカレーが で た 」「褒美が でる 」⑲ 商品や金が他所に渡る 。 ↔はいる 。 「この手の物はよく でる (=売レル )」⑳ 活字になったものや話などの中に登場する 。「この本に作り方が で ている 」「ギリシャ神話に で てくる女神 」「さっき話に で た店へ行ってみよう 」㉑ 人がそこで生まれ育つ 。また ,物が産出される 。「この学校からは多くの音楽家が で た 」「金の でる 山 」㉒ ある物事があきらかな形で示される 。「判決が でる 」「答えが でる 」「検査の結果が でる 」㉓ 人の感情などが外に表れる 。「怒りが顔に でる 」「いつもの癖が でる 」㉔ 内に秘められている能力などが発揮される 。「このテレビは音が で ない 」「食欲が でる 」㉕ ある現象や事態が発生する 。起きる 。「夕方になって風が で てきた 」「雲が でる 」「咳が でる 」「死者が でる 」「赤字が でる 」㉖ 雰囲気や特徴が表れるようになる 。「この絵はよく感じが で ている 」「体に丸みが でる 」「いい色が で た 」㉗ 命令 依頼などのはたらきかけがなされる 。「本社から指令が でる 」「聴衆からは何の質問も で なかった 」㉘ 境界線 限界を越える 。「素人の域を で ない作品 」㉙ …の系統を引く 。…に由来する 。「相撲用語から で た言葉 」㉚ (「世に出る 」の形で )世間の人々に知られるようになる 。評判になる 。「彼はこの小説で世に で た 」〔「づ (出 )」は ,下二段動詞 「いづ (出 )」の頭音 「い 」の落ちたもので ,上代から例が見られるが ,広く用いられるようになったのは中世以降 。「穂に で し君が見えぬこのころ 」〈万葉集 3506 〉「カノ島ヲ ヅル ニ臨ウデ 」〈天草本伊曽保物語 〉。「でる 」は ,「づ 」の下一段化したもので ,近世以降一般化した 。「出す 」に対する自動詞 〕慣用 足が ―裏目に ―顔から火が ―叩けば埃が ―喉 (のど )から手が ―火の ―よう 芽が ―ぐうの音も出ない 手も足も出ない 瓢簞から駒が出る 身から出た錆 (さび )