Sanseido Dictionary
御前
おまい 0 【御 前 】(代 )〔「おまえ 」の転 〕二人称 。同等以下の相手に用いる 。〔「おまえ 」よりやや卑俗な語感をもつ 〕
御前
おまえ ―まへ 【御 前 】一 2 (名 )① 神仏 貴人の前 。おんまえ 。みまえ 。「神の ―にぬかずく 」② 身分の高い人を直接にさすことを避けていう語 。「―にはいと悩ましげにて 」〈落窪物語 1 〉③ (「…のおまえ 」の形で )身分の高い人を敬う気持ちで付ける語 。「殿の ―は三十より関白せさせ給ひて 」〈大鏡 道長 〉二 0 (代 )① 二人称 。同等またはそれ以下の相手をさしていう 。多く男性が用いる 。「―はなんというだらしない男だ 」相手を敬っていう語 。男女ともに用いる 。あなたさま 。「―にだにつつませ給はむことを ,ましてことびとはいかでか 」〈源氏物語 手習 〉② 三人称 。第三者を敬っていう語 。あのかた 。「これは ―に参らせ給へ 」〈源氏物語 玉鬘 〉〔二人称としては近世前期までは最も高い敬意をもって用いられたが ,次第に敬意が薄れ ,明治以降は対等またはそれ以下の者に対する語となった 〕
御前
おめえ 0 【御 前 】(代 )〔「おまえ 」の転 〕二人称 。① 同輩以下の者に対するぞんざいな言い方として用いられる 。「おれがこうなったのも ―のせいだ 」② 近世には ,対等あるいはそれ以上の者に対して ,男女ともに用いる 。「―お茶を上がるかえ 」〈洒落本 青楼楽種 〉
御前
おんまえ ―まへ 1 【御前 】① 貴人の前 。「陛下の ―に進み出る 」② 女性の手紙の脇付 (わきづけ )に用いる語 。御前に 。
御前
ごぜ 【御 前 】〔「ごぜん (御前 )」の転 〕一 (名 )貴人などに対する敬称 。ごぜん 。「夷 (えびす )の ―腰掛けの石 」〈狂言 石神 〉二 (代 )二人称 。女性に対し敬意を含めて用いる 。ごぜん 。「や ―,―と言ひけれども音もせず 」〈義経記 7 〉三 (接尾 )女性の名などに付けて ,敬意を添える 。ごぜん 。「姫 ―」
御前
ごぜん 0 1 【御前 】〔「おまえ 」の漢字表記 「御前 」を音読みした語 〕一 (名 )① 天皇や貴人の前 。また ,神仏の前 。「―に伺候する 」② 〔「御前駆 」の略 〕騎馬で貴人の先導をする者 。「―どもの中に例見ゆる人などあり 」〈蜻蛉日記 下 〉③ 貴人に対する敬称 。近世 ,大名 旗本 大名の奥方に対する敬称 。「―御寝なりて 」〈今昔物語集 24 〉二 (代 )二人称 。① 女性に対し敬意を含めて用いる 。「―たち ,さはいたく笑ひ給ひてわび給ふなよ 」〈宇治拾遺物語 14 〉② 近世 ,大名 旗本 ,その奥方などを家臣が敬っていう語 。「是ははしたない ,―の御いでなさるる儀ではござりませぬ 」〈歌舞伎 毛抜 〉三 (接尾 )① 神の名に付けて ,尊敬の意を表す 。「かかる折節には竜王 ―ともこそかしづき申すべき 」〈源平盛衰記 18 〉② 人の名などに付けて軽い尊敬や親愛の気持ちを表す 。「小松三位中将殿の若君六代 ―」〈平家物語 12 〉③ 白拍子 (しらびようし )の名に付ける敬称 。「祇王 ―」〈平家物語 1 〉