Sanseido Dictionary
流石
さすが 0 【〈流石 〉・遉 ・〈有繫 〉】一 (副 )① (先行の内容を認めながらも ,それと矛盾することをいうのに用いて )そうはいうもののやはり 。とはいうもののしかし 。「離れていても ,―心は通じている 」② (以前から考えられていた内容を肯定し強調するために用いて )予想どおりに 。期待にたがわず 。「―本場の味だ 」③ (「さすがの …も 」の形で )定評のある 。あれほどの 。さしもの 。多く ,後に否定的な語を伴う 。「―の名選手も年齢には勝てない 」二 (形動ナリ )先行の内容をそのまま肯定するわけにはいかない状態を表す 。そうもいかない 。そうとばかりいえない 。「あはじともいはざりける女の ,―なりける (=ソウカトイッテ会ウワケデモナイ女 )がもとにいひやりける 」〈伊勢物語 25 〉「心憂しと思へど ,かく思し出でたるも ―にて (=困ッタトハイッテモ思イ出シテクレタノモウレシクテ )」〈源氏物語 夕顔 〉〔副詞 「さ 」,サ変動詞 「す 」,接続助詞 「がに 」が熟合した 「さすがに 」から 「に 」が脱落したもの 。「さすがに 」は平安時代以後 ,上代語 「しかすがに 」にとってかわったもので ,本来副詞であるが ,「に 」を活用語尾として形容動詞としても用いられるとともに ,「に 」を脱落することもあった 。 1 ① が原義であるが ,中世以降 1 ② の意でも用いられた 。「流石 」は中世以降の当て字で ,晋の孫楚の 「枕流漱石 」についての故事を ,さすがにうまいこじつけだとしたところからといわれる 〕 →しかすがに