源氏物語
げんじものがたり 【源氏物語 】物語 。五四帖 。紫式部作 。1001 ~5年の間に起筆 ,成立年未詳 。巻名と巻序は次のとおり 。桐壺 (「壺前栽 」「かがやく日の宮 」とも )帚木 (ははきぎ )空蟬 (うつせみ )夕顔 若紫 末摘花 (すえつむはな )紅葉賀 (もみじのが )花宴 (はなのえん )葵 賢木 (さかき )花散里 須磨 明石 (「浦伝 (うらつたい )」とも )澪標 (みおつくし )蓬生 (よもぎう )関屋 絵合 松風 薄雲 朝顔 (あさがお )乙女 (おとめ )(「日影 」とも )玉鬘 (たまかずら )初音 胡蝶 蛍 常夏 (とこなつ )篝火 (かがりび )野分 (のわき )行幸 (みゆき )藤袴 真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜上 (「箱鳥 」とも )若菜下 (「諸鬘 (もろかずら )」とも )柏木 横笛 鈴虫 夕霧 御法 (みのり )幻 匂宮 (におうのみや )(「匂兵部卿 」「薫中将 」とも )紅梅 竹河 橋姫 (「優婆塞 (うばそく )」とも )椎本 (しいがもと )総角 (あげまき )早蕨 (さわらび )宿木 (「貌鳥 (かおどり )」とも )東屋 (「狭蓆 (さむしろ )」とも )浮舟 蜻蛉 (かげろう )手習 夢浮橋 (「法の師 」とも )。「幻 」の次に 「雲隠 」の巻があったとも言われているが ,巻名だけで本文は伝わっていない 。「幻 」までは ,多くの女性との交渉を中心に光源氏の栄華と苦悩の生涯を描く 。「匂宮 」から 「竹河 」の三帖をつなぎとして ,「橋姫 」以下の一〇帖 (特に 「宇治十帖 」と呼ぶ )は ,舞台を洛外に移して ,薫 匂宮と宇治の姫君たちとの恋愛 ,そしてその悲劇を綴る 。構成 心理描写 自然描写に優れ ,物語文学の最高峰とされる 。後世の文学に及ぼした影響はきわめて大きい 。古くは 「源氏の物語 」「光源氏物語 」「紫の物語 」などと呼ばれた 。
源氏物語絵巻
げんじものがたり えまき ―ゑ ― 9 【源氏物語絵巻 】源氏物語を主題にした絵巻物 。平安時代以降数多く作られ ,現存するものでは伝藤原隆能 (たかよし )筆とする極彩色のもの (徳川黎明会 五島美術館蔵 )が有名 。1120 ~40年の作といわれ ,「引目鉤鼻 (かぎばな )」の技法を用いている 。
源氏物語奥入
げんじものがたり おくいり 【源氏物語奥入 】 →奥入 (おくいり )
源氏物語玉の小櫛
げんじものがたり たまのおぐし ―をぐし 【源氏物語玉の小櫛 】注釈書 。九巻 。本居宣長著 。1796年成立 。源氏物語の本質を 「もののあはれ 」と見る立場から論じ ,旧注を批判的に取捨して注釈を施す 。
源氏物語評釈
げんじものがたり ひょうしゃく ―ひやう ―【源氏物語評釈 】注釈書 。一四巻 。萩原広道著 。1854 ~61年刊 。「花宴 」までを新旧の注約30種を折衷して ,注釈したもの 。