Sanseido Dictionary
狩衣
かりぎぬ 3 0 【狩 衣 】〔もと ,狩りなどのときに着たところから 〕盤領 (まるえり )で脇を縫い合わせず ,くくり緒のある袖が後ろ身頃にわずかに付いているだけの衣服 。地質は ,布 (ふ )を用いるので布衣 (ほい )とも呼んだが ,のちに絹綾 (きぬあや )のものもできた 。平安時代には公家の平常の略服であったが ,鎌倉時代以後は公家 武家ともに正服 ,または礼服として用いた 。現在は ,神官の服装に見られる 。狩襖 (かりあお )。かりごろも 。
狩衣
かりごろも 【狩衣 】一 (名 )① 「かりぎぬ 」の歌語 。「秋の野の露わけ来たる ―」〈源氏物語 手習 〉② 〔「かり 」に 「仮 」の意をかけて 〕旅の衣装 。また ,旅 。「―,知らぬ道すぢを尋ねて 」〈浮世草子 好色一代男 3 〉二 (枕詞 )① 狩衣の裾 (すそ )の意で 「裾野 」に ,また狩衣の紐 (ひも )の意から同音の 「日も 」にかかる 。「―裾野もふかし 」〈新勅撰和歌集 冬 〉② 狩衣を裁つ意から ,同音の 「立つ 」にかかる 。「―たち憂き花のかげにきて 」〈玉葉和歌集 旅 〉③ 狩衣は乱れやすいので 「みだる 」「おどろ 」にかかる 。「―乱れにけりな梓弓 」〈続古今和歌集 秋上 〉