Sanseido Dictionary
蟬丸
せみまる 【蟬丸 】① 平安前期の歌人 。宇多天皇の皇子敦実親王に仕えた雑色 (ぞうしき )とも ,醍醐天皇の第四皇子とも伝えられる 。逢坂 (おうさか )山に住み ,盲目で琵琶の名手とされ ,音曲の守護神として伝説に富む 。後撰集以下の勅撰集に四首の歌がみえる 。生没年未詳 。② 能の一 。四番目物 (狂乱物 )。世阿弥作か 。盲目のため逢坂山に捨てられた皇子蟬丸を ,髪が逆立つ病をもつ姉逆髪 (さかがみ )が狂乱のさまで訪ねて行き ,互いの宿命を嘆きながら ,やがて別れて行く 。③ 人形浄瑠璃 。時代物 。近松門左衛門作 。初演年代未詳 。 ② に取材 。蟬丸をめぐる ,北の方 直姫らの恋争いを中心に描く 。蟬丸は女人の怨念で盲目となるが ,最後に開眼する 。